私たちの体重はどのような時に変化するのか疑問ではありませんか?
実は、体重の増減は「エネルギー摂取量」と「エネルギー消費量」の関係で決まります。
この関係が保たれている時は体重の変化がなく、理論上では太ることも痩せることもありません。
太るということは、バランスが下記のように崩れることを意味します。
エネルギー摂取量 > エネルギー消費量
この記事では肥満にならないようにするための方法を、体験を通じて身体活動の2つの視点からご紹介します。
きっと、日常生活のなかにダイエットの秘訣があることに気づいて頂けると思います。

今回は消費カロリーをポイントに取り上げています。
【ボディマス指数】BMIで調べる肥満度|年齢別でみる目安と目標範囲 編
エネルギー摂取量とは

エネルギー摂取とは、食事をとることで栄養素の持つ熱量(エネルギー)を体の中に取り込むこと。
日本では、この熱量(エネルギー)を「カロリー(kcal)」と言う単位で表されています。
食品に含まれる「たんぱく質・脂質・炭水化物」の熱量の合計値がカロリー(kcal)です。
各栄養素の1gあたりの熱量は下記の通り。
- たんぱく質・・・4kcal
- 脂質・・・9kcal
- 炭水化物・・・4kcal
すなわち、「エネルギー摂取量」とは、食べ物から取り入れたエネルギーを数値化したものとなります。

いったいどのくらい食べればいいの?
次に推定エネルギー必要量を見てみましょう。
推定エネルギー必要量(kcal/日)
18歳〜74歳までの推定エネルギー必要量をまとめています。
エネルギー必要量の数値は、身体活動レベルによって上段(高い)・中段(ふつう)・下段(低い)の順に記載しています。
年齢 (歳) | 男性 | 女性 |
---|---|---|
18〜29 | 3050(高い) 2650(ふつう) 2300(低い) | 2300(高い) 2000(ふつう) 1700(低い) |
30〜49 | 3050(高い) 2700(ふつう) 2300(低い) | 2350(高い) 2050(ふつう) 1750(低い) |
50〜64 | 2950(高い) 2600(ふつう) 2200(低い) | 2250(高い) 1950(ふつう) 1650(低い) |
65〜74 | 2750(高い) 2400(ふつう) 2050(低い) | 2100(高い) 1850(ふつう) 1550(低い) |
身体活動レベルは、オフィスワークが多い方は低い。座ったり立ったりする仕事や家事などはふつう。肉体労働が中心の方は高いを参考にしてみて下さい。

次にエネルギー消費量を考えていきます。
エネルギー消費量とは

エネルギー消費量とは、私たちが生命活動を維持するために必要な熱量を意味します。
大きく、基礎代謝・食事誘発性熱産生・活動時代謝の3つに分類されています。
基礎代謝・食事誘発性熱産生・活動時代謝について
- 基礎代謝・・・人が生きるために必要な最低限のエネルギー
- 食事誘発性熱産生・・・栄養素の消化吸収における代謝に必要なエネルギー
- 活動時代謝・・・身体活動による筋肉や心拍の活動に必要なエネルギー
一般的に、1日の総エネルギー消費量を100%とすると、基礎代謝量が約60%、食事誘発性熱産生が約10%、活動時代謝が約30%に相当すると考えられています。

基礎代謝の割合が最も多いですね!
基礎代謝量とは
基礎代謝量(basal metabolic rate:BMR)とは、呼吸や心臓、体温維持などの生命活動を保つために消費されるエネルギー量。
年齢や性別、体格、栄養状態、日常の活動状態によって基礎代謝量は違ってきます。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、下記の数値が目安とされています。
日本人の基礎代謝量(目安)
男性 | 女性 | |
---|---|---|
年齢 | 基礎代謝量 (kcal/日) | 基礎代謝量 (kcal/日) |
15〜17歳 | 1610 | 1310 |
18〜29歳 | 1530 | 1110 |
30〜49歳 | 1530 | 1160 |
50〜64歳 | 1480 | 1110 |
65〜74歳 | 1400 | 1080 |
75歳以上 | 1280 | 1010 |
食事誘発性熱産生とは
食事誘発性熱産生(Diet Induced Thermogenesis:DIT)とは、 食事を摂った後に安静な状態であっても代謝が増えること。
体内に取り込まれた栄養素が消化吸収などの代謝で体熱として消費されるエネルギー量。

食事をすると体が「ホカホカ」と温まるのはこのため!
活動時代謝とは
活動時代謝(activity-related energy expenditure)とは、私たちの日常生活における『身体活動』によって生まれるエネルギー消費量。
身体活動の強度と安静時代謝量に比例するため、エネルギー消費量を算出するために「メッツ(METs)」という単位が使用されます。
身体活動のメッツ表(例)
メッツとは座位安静時のエネルギー代謝量を1として、各身体活動のエネルギーが何倍にあたるかで強度を表した単位となります。
- 普通歩行・・・3メッツ
- ラジオ体操第一・・・4メッツ
- ジョギング・・・6メッツ
スマートウォッチで測る消費カロリー|METs(メッツ)を使った計算方法と精度を比較検証
活動時代謝の分類とNEAT(ニート)について

活動時代謝(身体活動)によるエネルギー消費は、スポーツなどの「運動」と、家事などの「生活活動」の2つに分類されています。
- 運動・・・ウォーキングやスポーツなど
- 生活活動・・・仕事や家事など
運動機会が少ない場合は、通勤で歩く距離を伸ばしたり、掃除をこまめにすることでエネルギー消費量を増やすことが可能。
この生活活動を「非運動性身体活動によるエネルギー消費」と呼び、別名を「NEAT(non-exercise activity thermogenesis)」と言います。
最近は、コロナ禍にあってNEAT(ニート)が肥満解消に繋がるとして注目されています。
私も掃除機をかけたり、窓拭きをしたりして消費カロリーを増やすことを意識的にやっています。

スポーツが苦手な方はNEATを増やすことでダイエット効果が期待出来ます。
【Apple Watch】アクティブカロリー100kcalのウォーキング|目標設定 編
エネルギー消費量をアップさせる身体活動

「活動時代謝(身体活動)」では動いた分だけエネルギーを消費することが出来ます。
つまりは、ダイエットの視点で言い換えると「動けば動いた分だけ痩せることが可能」という事になります。

普段は、運動派?それともNEAT派?
運動でダイエット
運動をするメリットは、消費カロリーを増やすだけでなく、筋肉をつけることで基礎代謝アップが図れます。
基礎代謝は加齢とともに減少していきます。基礎代謝が低下するとエネルギー消費量が少なくなってしまうため、肥満(太る原因)に繋がりやすくなります。
適度な筋肉量を維持して、理想の体型を保つことはエネルギー消費の観点からも大切。
運動の種類 | 消費カロリーの目安 |
---|---|
ヨガ(30分) | 約50kcal |
ウォーキング(30分) | 約100kcal |
ランニング(30分) | 約150kcal |
運動強度(メッツ値)が高くなれば、消費されるエネルギー量も比例して増えていきます。
自分が普段歩く速度がどのくらいのメッツ値になるか調べてみても良いかもしれません。
スマートウォッチで測る消費カロリー|METs(メッツ)を使った計算方法と精度を比較検証
生活活動(NEAT)でダイエット
1日のエネルギー消費量を運動以外で増やすには、日常生活の中で体を動かす機会を増やすことがポイント!
雨などで外で運動ができない日は、自宅で出来る生活活動で消費カロリーを増やしたいものです。
「塵も積もれば山となる」と考え、コツコツと積み重ねることでダイエットに繋がります。
生活活動の種類 | 消費カロリーの目安 |
---|---|
掃除機(30分) | 約50kcal |
洗濯干し(30分) | 約60kcal |
窓拭き(30分) | 約75kcal |
ウェアラブル活動量計や体重体組成計の魅力とは?
自分の消費カロリーがいったいどのくらいか知りたくありませんか?
スマートウォッチ(ウェアラブル活動量計)を着けると消費カロリーが確認できます。
なぜなら、身長や体重、心拍数などの様々なデータから身体活動で消費するカロリーを算出してくれるからです。
面倒くさがりの人もスマートウォッチを着ければ、積極的に動くようになるかもしれません。
そうなればしめたもの!今まで億劫だった家事や通勤で楽しくタイエットに取り組めます。

私は、家族の間で消費カロリーや歩数を争っています。
体重体組成計で肥満度をチェックして目標値とされる「BMI 22」を目指して頑張っています。
【ボディマス指数】BMIで調べる肥満度|年齢別でみる目安と目標範囲 編
さいごに

日々の生活で、身体活動の機会や量を増やすことはエネルギー消費量の増加に効果的。
自分の体にあったエネルギー摂取量、それに見合ったエネルギー消費量でいつまでもバランスの取れた体型を維持したいものです。
運動や生活活動(NEAT)を意識して、積極的に消費カロリーを増やすことでダイエット効果が期待出来ます。
エネルギー消費量を計測できるツールとして、スマートウォッチ(ウェアラブル活動量計)やスマホ連携ができる体重体組成計の人気が高まっています。
スマホ連携のアプリが使いやすい!おすすめのオムロン体重体組成計カラダスキャン
【参考文献】
・柴田克己、合田敏尚(編)改訂第6版 基礎栄養学 南江堂
・田地陽一(編)基礎栄養学 羊土社
・栢下淳、上西一弘(編)応用栄養学 羊土社
・麻見直美、川中健太郎(編)運動生理学 羊土社
【参考サイト】
※写真やイラストはイメージです。