Garmin fēnixシリーズは、2012年の登場以来、単なるGPSウォッチの枠を超え、「すべてを叶える究極のアウトドアウォッチ」として進化を遂げてきました。それは、ウェアラブルデバイスの可能性そのものを拡張してきた歴史でもあります。
なぜfēnixは、「Garminの顔」と呼ばれるのか。その理由を、歴代モデルが「シリーズ初」として搭載してきた革新的な機能と共に振り返り、さらにfēnix 7 proを愛用する一人のユーザーの視点から、次なる「fēnix 9」への期待も考察したいと思います。
「fēnix」の名に込められた意味

多くのGarmin製品が「Forerunner(先駆者)」や「Instinct(本能)」といった具体的な名前を持つのに対し、fēnixは「不死鳥(Phoenix)」を意味します。これは、「どんな過酷な環境でも必ず生還する」「バッテリーが切れず活動を記録し続ける」という、アウトドアウォッチとしての究極の信頼性への意志が込められています。 この名を冠するシリーズは、常にGarminの最先端技術の実験場であり、その時点での「最高」を詰め込んだフラッグシップであり続けてきました。
第1章:誕生(2012年)
fēnix (初代)
- コンセプト: ABCウォッチ + GPSナビゲーション
初代fēnixは、登山や探検に焦点を当てた「腕に乗るハンディGPS」として誕生しました。当時のアウトドアウォッチの標準機能であったABCセンサー(高度計、気圧計、コンパス)に、Garminが誇るGPSナビゲーション機能を融合。過酷な環境下でのルート案内を可能にし、fēnixブランドの原点(=アウトドア・タフネス)を確立しました。
第2章:マルチスポーツへの拡張(2014年)
fēnix 2
- 主な進化: マルチスポーツ機能の本格搭載
fēnix 2は、ターゲットを本格的なアスリートへと拡大。ランニング、スイミング、サイクリングなど複数のスポーツに対応し、VO2 Max(最大酸素摂取量)の推定やランニングダイナミクスといった高度な計測機能を搭載。fēnixは「登山家」から「トライアスリート」にも選ばれる万能ウォッチへと進化を始めました。
第3章:デザインとプラットフォームの革新(2015年)
fēnix 3
- 主な進化: 丸型カラーディスプレイ、Connect IQ™ への初対応
fēnix 3は、シリーズ最大のターニングポイントの一つです。ここで初めて、無骨な四角い画面から洗練された丸型カラーディスプレイへとデザインが刷新されました。 さらに重要なのが、「Connect IQ」プラットフォームへの初対応です。これにより、ユーザーがウォッチフェイスやアプリを追加できるようになり、fēnixは「拡張可能なスマートデバイス」へと変貌を遂げました。
豆知識:fēnix 4は? 「4」はアジア圏で縁起が悪い数字とされているため、fēnix 3の後継モデルは「fēnix 5」として発表されました。
第4章:パーソナライズとマップの時代(2017年)
fēnix 5 シリーズ
- 主な進化: シリーズ初の3サイズ展開、シリーズ初のフルカラーマップ搭載(5X)
fēnix 5は「万人にフィットする」という新たな次元を開拓。シリーズ初の3サイズ展開(5S/5/5X)により、性別や体格を問わず選べるモデルとなりました。 そして、「fēnix 5X」にはシリーズで初めてフルカラーの地形図が搭載され、時計単体で現在地とルートを確認できる、真のアウトドア・ナビゲーションが完成しました。
第X章:スマート機能の標準化(2018年) fēnix 5 Plus シリーズ
主な進化: 全モデルへの「地図・音楽・決済」の標準搭載
fēnix 5では最上位の「5X」のみだった地図機能。そして当時はまだ限定的だった音楽再生機能とGarmin Pay(決済)。これら3つの主要スマート機能を、シリーズで初めて全サイズ(5S/5/5X)に標準搭載したのが「5 Plus」です。
このモデルの登場により、fēnixは「一部のプロ向け機材」から「誰もが日常から使える、便利な全部入りウォッチ」へとその地位を確立しました。fēnix 6以降の「何でもできる」という万能性は、この5 Plusによって決定づけられたと言えます。
第5章:バッテリー革命(2019年)
fēnix 6 シリーズ
- 主な進化: シリーズ初のソーラー充電「Power Glass」搭載(6X Pro Solar)
fēnix 6は、スマートウォッチ最大の課題であった「バッテリー持続時間」に革命を起こしました。最上位モデルに、シリーズで初めてソーラー充電機能(Power Glass)を搭載。太陽光で稼働時間を劇的に延長させ、日本国内モデルではSuicaにも対応。機能面でもほぼ完成形と呼べるレベルに達しました。
第6章:操作性と実用性の極致(2022年)
fēnix 7 シリーズ
- 主な進化: シリーズ初のタッチスクリーン、シリーズ初のLEDフラッシュライト(7X)
fēnix 7は、伝統の「5ボタン操作」の信頼性はそのままに、マップ操作などを直感的に行えるタッチスクリーンをシリーズで初めて採用。 さらに、「fēnix 7X」にはLEDフラッシュライトが初めて搭載され(後のProモデルで全サイズ標準化)、夜間の安全性と日常生活での利便性が飛躍的に向上しました。操作性と実用性において、一つの完成形を迎えました。
第7章:新時代の表現力(2024年)
fēnix 8 シリーズ
- 主な進化: AMOLED(有機EL)ディスプレイの本格採用
先行するEpixシリーズに続き、fēnix 8は遂に鮮やかなAMOLEDディスプレイを本格採用。これにより、街中でも見やすい美しい画面表示と、fēnix伝統のタフネス・長時間バッテリーという、相反する要素を高次元で両立。すべてのアクティビティと日常をシームレスに繋ぐ、新時代のフラッグシップとなりました。
fēnix 8で、AMOLEDモデルとDual Powerモデルの2ラインナップの展開へ
第8章:未来への展望(fēnix 9 予想)
fēnix 8が美しさを手に入れた今、次なるfēnix 9はどこへ向かうのでしょうか。これまでの進化トレンドと、fēnixを愛用してきたユーザーの視点から、期待を含めて次なる進化を予想したいと思います。
fēnix 9シリーズの進化
fēnix 9は、fēnix 8で搭載されたマイク・スピーカーを「使う」から「使いこなす」フェーズへと進化させて欲しいと願っています。
- サードパーティ・アプリへの本格対応: 現状の「通知の確認」から一歩進み、ウォッチ上で(スマートフォンを取り出さずに)LINEなどの主要アプリへ直接アクションを返せる機能の強化が期待されます。例えば、マイクを使った音声入力によるメッセージ返信や、定型文・絵文字でのクイックリアクション。
- 音声機能の「実用性」向上: fēnix 8で「搭載」された通話機能を、fēnix 9では「実用レベル」に引き上げることが求められます。具体的には、アクティビティ中の風切り音などを強力に除去するAIノイズキャンセリングの導入や、スピーカー音質の向上により、ランニング中でも実用的に通話ができるレベルへのブラッシュアップ。
- オンデバイスAIと音声コマンドの融合: fēnix 8のマイクは、主にスマートフォン経由のアシスタント呼び出しに使われます。fēnix 9では、ウォッチ単体で動作する(=スマホが圏外でも使える)AI音声コマンドの強化が予想されます。「タイマーをセット」「ナビを開始」といった基本的な操作を、登山中で手が離せない時でも音声で完結できる機能の強化。
fēnix 9が、fēnix伝統の堅牢性・防水性を維持したまま、高いマイク・スピーカーのレベルを確保すれば、トレーニングを止めずに電話に出たり、手が離せない登山中に定型文LINEを音声で返信したりできます。
これが実現すると、fēnixは高いスマート機能で日常と非日常をシームレスに繋ぐ「真の究極のウォッチ」になると期待しています。
でも、そうなると更に高額な価格帯へと進んでいってしまいそうです…。
まとめ
fēnixシリーズは、常に「タフネス」を核に置きながら、GPSナビ、マルチスポーツ、スマート化、ソーラー充電、操作性、そしてAMOLEDの美しさへと、その時代の最先端を取り込み、自らを進化させてきました。
fēnix 9が、アスリートの期待(センサーやAI)に応えつつ、より便利なスマートな体験を叶えてくれた時、fēnixは名実ともに私の中で「最高峰のスマートウォッチ」になると思います。
Apple WatchやGoogle Pixel Watchが「AI×スマートウォッチ」での更なる進化を図るなか、Garmin独自の機能にも期待したいところです。
参考サイト・引用元
・Garmin公式サイト:https://www.garmin.co.jp/
・Garmin公式サイト(Garminの35年にわたる革新の歴史):https://www.garmin.co.jp/event/2024/35th/
・DC Rainmaker:https://www.dcrainmaker.com/
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