Garminは2026年7月22日、同社初となる画面のないヘルス&フィットネストラッカー「CIRQA Smart Band」を日本で正式発表しました。
予約開始は7月30日、発売日は8月6日。価格は32,800円です。
CIRQAには、時刻や通知、運動中の数値を表示するディスプレイがありません。操作に使うのは、本体側面のボタンとLED、振動だけです。
画面のないウェアラブルデバイスと聞くと、まず「何ができないのか」に目が向きます。
筆者もFitbit Airを日常的に使う中で、画面がないと今何時かがすぐには分からないことや、複数のデバイスを付け替える手間を実感してきました。
しかし、CIRQAについて考えるときは、少し視点を変える必要がありそうです。
Garminは、画面をなくすことで何を残そうとしたのでしょうか。
そこには、単に機能を減らしたのではなく、健康を記録する行為から「画面を見る時間」を取り除こうとする思想が見えてくるように思います。
Garmin CIRQAの発売日・価格・基本仕様

まずは、国内で発表された主な内容を整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 予約開始日 | 2026年7月30日 |
| 発売日 | 2026年8月6日 |
| 価格 | 32,800円(税込) |
| 本体サイズ | 27×47×9mm |
| 重量 | センサー部分14.8g、バンド込み約21g |
| バッテリー | 最大約10日間 |
| 防水 | 5ATM |
| GPS | 本体非搭載、スマートフォンのGPSを利用 |
| 操作方法 | 側面ボタン、LED、振動 |
| 装着場所 | 手首、別売りバンドによる上腕装着 |
| カラー | Black、French Gray、Captain Blue、Mauve |
| 基本機能の契約 | サブスクリプション不要 |
ただし、これらの数字だけでは、CIRQAがどのような役割を持つ製品なのかは見えてきません。
CIRQAが埋めようとしている「記録の空白」
Garmin Japanは、CIRQAの利用場面として、アナログ時計を着けたいとき、仕事や競技中にスマートウォッチを装着できないとき、睡眠中のウォッチ装着を負担に感じるときなどを挙げています。
つまり、CIRQAが解決しようとしているのは、従来のスマートウォッチに機能が足りないという問題ではありません。
スマートウォッチを着け続けることが難しい時間にも、健康や回復のデータを記録したい。
そのような、生活の中に生まれる「記録の空白」を埋めるためのデバイスです。
日中はお気に入りの機械式時計を使いたい人もいます。大型のGarminウォッチを睡眠中だけ外したい人もいるでしょう。仕事やスポーツの都合で、手首に時計を着けられない場合もあります。
これまで、そのような時間はGarminの記録が途切れやすい時間でもありました。
CIRQAは、スマートウォッチの代わりになることよりも、スマートウォッチを外している時間を補うことに役割を置いているように見えます。
画面をなくしたのではなく、見る必要をなくした
CIRQAで記録した健康データは、Garmin Connectアプリから確認します。
その場で数値を何度も見るのではなく、生活している間は静かに記録し、必要なときに後から振り返る。
これは、一般的なスマートウォッチとは異なる付き合い方です。
スマートウォッチの画面は便利です。時刻や通知だけでなく、心拍数、歩数、Body Battery、運動中のペースなど、多くの情報をすぐに確認できます。
一方で、情報を確認できるからこそ、何度も画面を見てしまうこともあります。
CIRQAでは、その画面自体を取り除きました。
CIRQAに画面がないのではなく、Garminは健康を記録する行為から「画面を見る必要」を取り除いたのかもしれません。
デバイスの存在を意識する時間は減らしながら、身体の状態を知るためのデータは残す。
CIRQAのスクリーンレスという特徴は、単なる外観上の違いではなく、製品の考え方そのものだと思います。
外さずに記録するための設計

CIRQAのセンサー部分は14.8g。バンドを含めても約21gで、バッテリーは最大約10日間です。
5ATM防水に対応し、手首だけでなく、別売りの上腕用バンドへ交換して装着することもできます。
これらの仕様は、個別に見ると、軽さや電池持ち、防水性能といった一般的な製品スペックです。
しかし、CIRQAの役割から見ると、すべてが「外す理由を減らす」という目的につながっています。
本体が軽ければ、睡眠中や日常生活でも負担になりにくい。最大約10日間使えれば、充電によってデータが途切れる回数も減らせます。
手首に時計を着けられない場面でも、上腕用バンドへ交換すれば記録を継続できます。
また、ファブリックバンドは電子モジュールを取り外したうえで洗濯できます。ただし、電子モジュール自体は洗濯機や乾燥機に入れられません。
CIRQAは、多くの機能を目立たせるためではなく、装着していることを意識させないために設計された製品といえそうです。
画面はなくても、Garminらしさは残っている

表示機能をなくした一方で、健康やトレーニングの計測機能は大きく省かれていません。
CIRQAは、心拍数、安静時心拍数、HRVステータス、Body Battery、ストレス、血中酸素レベル、皮膚温、呼吸数などを記録できます。
睡眠についても、睡眠時間や睡眠ステージ、睡眠スコア、睡眠コーチ、昼寝の検出などに対応します。
搭載されている光学式心拍センサーは第4世代です。Garminの最新ウォッチに搭載される第5世代ではありませんが、日常的な健康・睡眠記録を支える機能は広く備えています。
さらに、CIRQAは健康管理専用のバンドではありません。
トレーニングレディネス、トレーニングステータス、リカバリータイム、トレーニング負荷、負荷比、有酸素・無酸素トレーニング効果、VO2 Maxなど、Garminらしいトレーニング指標にも対応します。
80種類以上のアクティビティを記録でき、ランニングやウォーキング、筋力トレーニング、HIIT、ヨガ、水泳、サイクリングなどに利用できます。
画面はありませんが、Garminが蓄積してきた健康・回復・運動の分析機能は、CIRQAにも受け継がれています。
表示する機能を減らしても、身体を知るための機能は減らしていない。
ここにも、CIRQAの立ち位置が表れています。
ほかのGarminへ付け替えながら、記録をつなぐ
CIRQA単体でも、健康や運動の記録はできます。
ただし、この製品の価値は、単体性能だけでは判断しにくいでしょう。
国内製品ページでは、TrueUp、Physio TrueUp、統合トレーニングステータスへの対応が明記されています。
これにより、複数のGarminデバイスを切り替えながら、HRVステータス、トレーニング負荷、リカバリータイム、トレーニングステータスなどをGarmin Connect上でつなげられます。
日中や運動中はfēnix 7 Proやvívoactive 6を使い、睡眠中や軽装時、時計を着けられない場面ではCIRQAへ切り替える。
その日の予定や服装、運動内容に合わせて、装着するGarminを選べることもメリットです。
大型モデルを睡眠中だけ外したい場合や、仕事ではアナログ時計を使いたい場合でも、CIRQAへ付け替えることで健康データの記録を続けられます。
また、Garminウォッチを充電している間にCIRQAを使えば、記録が途切れる時間も減らせます。
一つのデバイスですべてをこなすのではなく、場面ごとに使い分けながら、データはGarmin Connectでつなぐ。
CIRQAは、Garminを「着け続ける」ための製品というより、Garminの記録を「続ける」ための製品といえそうです。
Fitbit Airを使って分かった、画面がないことの意味
筆者は現在、日中はGarminなどのスマートウォッチを使い、就寝時を中心にGoogle Fitbit Airを使っています。
Fitbit Airを使って感じたのは、画面がないことは、単なる機能不足ではないということです。
時刻や通知、歩数をその場で確認できない不便はあります。一方で、本体が軽く、睡眠中の違和感が少ないため、健康データの記録を続けやすくなりました。
計測はデバイスに任せ、結果は必要なときにスマートフォンで見る。
この距離感は、使い始める前に想像していた以上に快適でした。
現在は、日中はスマートウォッチ、就寝時はFitbit Airという使い分けに自然と落ち着いています。
この体験から、画面のないウェアラブルは、画面付きスマートウォッチの簡易版ではなく、身体の状態を静かに残す「記録係」なのだと感じています。
Fitbit Airを使う筆者が、CIRQAに期待すること

CIRQAに期待しているのは、画面のないウェアラブルとしての新しさだけではありません。
軽さや睡眠時の快適さ、画面を見なくてよい静けさについては、すでにFitbit Airでメリットを実感しています。
CIRQAの大きな価値は、その体験をGarmin Connectの中で実現できることです。
日中はfēnix 7 Proやvívoactive 6を使い、睡眠中や軽装時にはCIRQAへ切り替える。
そのデータがBody Batteryやトレーニングレディネス、トレーニング負荷へ自然につながるのであれば、Garminユーザーにとって魅力的な選択肢になります。
特に確認したいのは、デバイスを付け替えたときのデータの連続性です。
CIRQAで計測した睡眠やHRVが、翌朝のBody Batteryやトレーニングレディネスへどこまで自然に反映されるのか。
公式仕様上では複数端末の連携に期待できますが、実際の使い勝手は発売後に確認したい部分です。
CIRQAに期待するのは、画面のない新しいGarminではありません。
Garminを外している時間まで、Garminの記録につなげることです。
32,800円をどう見るか
CIRQAの国内価格は32,800円です。
筆者が現在使っているFitbit Airは16,800円のため、価格は約2倍です。
しかもCIRQAには画面も本体GPSもなく、本体上で運動中の心拍数やペースを確認することはできません。
ただし、スマートフォンと接続すれば、距離やペースなどを確認できます。Garmin Connect+の一部機能や、対応するGarminデバイスへの心拍転送を利用すれば、条件付きで運動中の情報をリアルタイムに見ることも可能です。
それでも、単体のスクリーンレスバンドとして見れば、決して安価ではありません。
一方で、CIRQAはTrueUpやPhysio TrueUp、統合トレーニングステータスに対応し、既存のGarminウォッチと健康・回復・トレーニングデータをつなげられます。
また、基本的な健康・睡眠・トレーニング機能を利用するための月額契約は必要ありません。
ただし、瞑想やブレスワーク、一部のコーチ機能、栄養管理、ライブアクティビティなど、Garmin Connect+への加入が必要となる機能もあります。
CIRQAの価格差を支えるのは、軽さやバッテリー性能だけではなく、Garmin Connectの中で記録を継続できることです。
画面のないバンドに32,800円を支払うのか。
それとも、Garminを外している時間まで記録につなげるために32,800円を支払うのか。
どちらの視点で見るかによって、評価は大きく変わりそうです。
CIRQAが届けようとしているもの
CIRQAは、画面のないスマートウォッチではありません。
画面を見る時間を増やさずに、健康や睡眠、回復の記録を残す。
アナログ時計を着けている時間も、仕事中も、競技中も、睡眠中も、Garminのデータをつなぐ。
その意味でCIRQAは、
Garminの記録を24時間つなぐための、画面のないサブデバイス
と考えるのが近そうです。
軽さや最大約10日間のバッテリー、上腕への装着、豊富な健康・トレーニング指標も、すべて「外さずに記録し続ける」という目的へつながっています。
CIRQAの特徴は、画面がないことです。
しかし、その本質は、画面をなくしたことではありません。
テクノロジーを意識する時間を減らしながら、自分の身体を理解するための記録は残す。
CIRQAは、Garminがウェアラブルデバイスと人との距離を、もう一度考え直した製品なのかもしれません。
参考サイト
・Garmin 公式サイト:https://www.garmin.co.jp/
・Garmin CIRQA 製品ページ:https://www.garmin.co.jp/products/wearables/cirqa-band-s-black/
・Garmin プレスリリース:https://www.garmin.co.jp/news/pressroom/news2026-0722-garmin-cirqa/
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