Apple Watchで「ストレスチェックはできるの?」と時々聞かれます。
現時点(2023年3月1日現在)ではストレスレベルに関するスコアやグラフはないですが、
デバイスに搭載されたセンサーが検知するとマインドフルネス機能の利用を促してくれます。
心拍変動(HRV)などからアップル独自の検知システムでリマインダーが入る仕組み。
体感から言っても“ ピンポイント ”で正確に通知が入るので精度は高いと感じます。
体調の良好・不良の目安となるヘルスケアアプリ(心拍変動)の値も参考にしてみて下さい。

ストレス対策も上手に使えば効果的!
今回は、イライラや緊張、睡眠対策にも応用ができるApple Watchのマインドフルネス機能の魅力に迫りたいと思います。
※計測機種:Apple Watch 5(watch OS9)、iPhone SE3(iOS16)
スマートウォッチのストレス測定|おすすめ3大メーカー精度比較|健康管理機能 編
Apple Watchの心拍変動測定について

Apple Watch の光学式心拍センサーは「光電式容積脈波記録法 (フォトプレチスモグラフィ) 」と呼ばれる方法を用いて心拍数を測定しています。
センサーには赤色と緑色があり、心拍変動(HRV)の計測には緑色のLEDライトが使われています。
心拍変動(HRV:Heart Rate Variability)とは「心拍のゆらぎ」を意味します。
つまり、鼓動間隔(RRI:R-R Interval)の変化です。

心臓の鼓動間隔は状態によって、長くなったり短くなったりして常に一定ではありません。
この心拍変動の可変時間を捉え、Apple独自のアルゴリズムから検知していると考えられます。
心拍数 (HR) | 心臓の拍動数 |
心拍変動 (HRV) | 心拍のゆらぎ |
光学式心拍センサーは赤外線も使います。Apple Watch がバックグラウンドで心拍数を測定する時や、心拍数の通知用に計測する時は、このモードが使われます。運動中や呼吸セッション中の心拍数の測定や、歩行時平均や心拍変動 (HRV) の計算には、緑色の LED ライトが使われます。
出典:Apple公式サイト
ヘルスケアアプリで心拍変動をチェック

Apple Watchでは、心拍センサーで鼓動間隔の『標準偏差』によって心拍変動を計算しています。
鼓動間隔の標準偏差は、専門的に「SDNN(Standard Deviation of the NN intervals)」と呼ばれており、『交感神経および副交感神経の両方を含む自律神経系全体の活動状態を表す指標』* を指します。
*Estimation of Stress During Car Race with Factor Analysis(東京大学 論文より)

心拍変動(HRV)の見方と目安
心拍変動はiPhoneのアプリ『 ヘルスケア 』内で確認できます。
ヘルスケアアプリを立ち上げて「 ブラウズ(右下)→ 心臓 → 心拍変動 」で下記の画面が表示されます。

参考のために、ヘルスケアの画面をスクリーンショットにとっておきました。

年齢や性別によって個人差があるため、数値の良し悪しは一概に判断できませんが、上記画面の期間は平均32ミリ秒で推移していることがわかります。
心拍変動(HRV)の見方としては、普段の平均値より低ければ疲労気味であり、高ければ回復傾向にあると判断できます。
- HRVが高い:良好、疲労の回復傾向
(睡眠の質が良い、気分転換ができている) - HRVが低い:不調、疲労度が高い傾向
(過度な運動、睡眠不足、イライラ)
いつもより心拍変動が低い状態が続いているようなら、仕事をセーブして休息を心掛けています。
あくまでも判断は個人的な目安のため、数値が気になるようでしたら専門のかかりつけ医にご相談下さい。
*HRVによるストレスチェックはあくまでも参考程度として考えて下さい。

睡眠不足も体調不良の要因なので、睡眠アプリも併用してみて下さい!
Apple Watch 心電図App|サードパーティ製アプリとの連携もおすすめ|レビュー 編
\最新モデル Apple Watch 8/
自律神経と心拍変動(緊張とリラックス)

自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、状況によってバランスが変化します。
緊張状態では交感神経が優位になり、リラックス状態では副交感神経が優位に。
これらの自律神経の働きを把握するために心拍変動による計測が使われています。
心拍変動の値が小さいということはストレスが高い状態で、逆に心拍変動の値が大きい時はストレスが低い状態です。
「緊張状態」と「リラックス状態」の違いを比較すると下記の通り。
緊張 | リラックス | |
---|---|---|
心拍変動 (HRV) | ゆらぎが 小さい | ゆらぎが 大きい |
ストレス | 高い | 低い |

緊張をほぐすためにマインドフルネス機能が搭載されています!
Apple Watchのマインドフルネス機能

Apple Watchが休憩が必要と判断した際には、下記のような「少し時間を取りましょう」と通知が入ります。

通知が入った際には、マインドフルな時間として「深呼吸」と「リフレクト」の2つ機能から選択できます。
- 深呼吸
ゆっくり深く行う呼吸 - リフレクト
テーマに対して“思考を集中させる取り組み ”
深呼吸の呼息時間(息を吐く時間)を長くすることで副交感神経を優位にできるため、リラックスにも有効とされています。


与えられるリフレクトのテーマの内容は毎回異なります。
*参考:Apple Watchを使ってマインドフルネスを実践する
ストレス機能付きスマートウォッチのおすすめメーカー

ストレスチェック機能付きのスマートウォッチがあるメーカーでおすすめなのは、
「Garmin(ガーミン)」と「Fitbit(フィットビット)」の2社。
どちらが良いかは迷うところですが、数値化(ストレススコア)を希望の方はGarminの方が分かりやすいかもしれません。
リアルタイムで変化するスコアやグラフをデバイスやアプリで確認できるのは便利です!
ガーミンのスマートウォッチで見るストレスレベルと平均スコア|心拍変動(HRV) 編
「Fitbit Sense 2」は、終日のストレス測定対応!
気分の状態を記録したり、リフレッシュしたりとストレスマネジメント向きのスマートウォッチです。
Fitbit Sense 2 新機能レビュー!cEDAセンサーの使用感と個人的評価 編
さいごに

ストレスが原因で突発性難聴になった経験がある私にとって、ストレスチェック機能は非常に有り難いです。
普段、「イライラすることが多い」「寝ても気分がスッキリしない」といった方は、
スマートウォッチのストレス測定機能でチェックしてみるのも良いかもしれません。
ストレスに早く気づくことで、回避や対処ができる可能性が高くなります。
なお、私は心電図アプリ対応機種 * を使っているので、
iPhoneアプリ「心拍変動の分析・心電図アナライザー」も使用しています。
ご興味があれば、色々なデバイスやアプリのストレスチェック機能を試してみて下さい。
*心電図アプリ対応機種:Apple Watch Series 4、Series 5、Series 6、Series 7、Series 8、Ultra (2023年3月1日現在)
スマートウォッチのストレス測定|おすすめ3大メーカー精度比較|健康管理機能 編
▼参考サイト
・Fitbit 公式サイト https://www.fitbit.com/global/jp/home
・Garmin 公式サイト https://www.garmin.co.jp/
・Apple 公式サイト https://www.apple.com/jp/watch/
▼参考文献
・栄養科学イラストレイテッド運動生理学 麻美直美・川中健太郎(編) 羊土社
・第6版 補訂 基礎運動学 中村隆一・齋藤宏・長崎宏(著)医歯薬出版株式会社
・図解 眠れなくなるほど面白いストレスの話 ゆうきゆう(監修)日本文芸社
・ウェアラブル端末により検知した心拍変動に基づくストレス推定 鈴木伊織、佐藤文明(情報処理学会研究報告2020)
・心拍変動を利用した日常生活下のストレス値測定手法の検証 久保優希・小倉加奈代(情報処理学会インタラクション2021)
・呼吸法はなぜ健康によいのか? : 心拍変動バイオフィードバック法からみた自律神経メカニズムと心理学的効果 東海学園大学 学術情報リポジトリ 榊原雅人
・バイオフィードバックによる心理的指標への影響の概観と展望 東京大学 修士課程1年 下田茉莉子、修士課程1年 松本珠実、准教授 滝沢龍
※心拍変動の値が気になる場合は、かかりつけ医などにご相談下さい。
※写真やイラストはイメージです。