健康管理機能のひとつとして“ ストレスチェック ”ができるスマートウォッチ。
デバイスに搭載されたセンサーが身体反応を捉えて振動や通知で教えてくれます。
メーカーによって仕様が異なるため、今回はおすすめ3大メーカー(Apple Watch、Fitbit、Garmin)で比較してみました。

精度においては感想を書いておきました。
ストレスと睡眠は密接な関係にあるため「 マインドフルネス」や「 ブレスワーク 」の機能が搭載されている機種が多いと思います。
*測定機種:Apple Watch 5、Fitbit Sense 2、Garmin Venu2S
Fitbit・Garmin・Apple Watch レビュー|どれがおすすめ?機能比較 編
ストレスチェックとコーピング

誰にも大なり小なり存在するストレスですが、上手く付き合っていくためには『ストレスへの気づき』が大切と言われています。
忙しい毎日の中で、知らず知らずのうちにストレスが溜まっている方も多いのではないでしょうか。
ストレスに早く上手に対処することができれば、ストレス反応への負荷軽減が可能なため、このあたりに “ ストレス測定機能の意義 ” があると感じています。

ストレスに対処する行動を「ストレスコーピング」と言います。
人それぞれストレスの原因や感じ方は違いますが、ストレス反応の仕組みや発生メカニズムは共通。
出来事に対してどのように受け止め、対処できるかで心身へのストレス反応の度合いが異なってきます。

ストレッサーによって過剰なストレスが慢性的にかかると心身へのさまざまな悪影響が考えられるため、健康を維持するにはうまくストレスコーピングすることが必要になります。
出典:e-ヘルスネット(厚生労働省)

ストレス耐性には個人差があります。
ブレスワーク機能の効果

スマートウォッチの機能では、主に深呼吸(ブレスワーク)やマインドフルネス(瞑想)などのセルフケアが中心。
ストレスが高い緊張した状態では、呼吸が浅くなったり心拍数が速くなります。
深呼吸は心身をリラックスさせる効果があるとされ、比較的短い時間でできるのが魅力です。
多くのスマートウォッチにブレスワーク機能が備わっていることにも合点がいきます。
特に腹式呼吸は、副交感神経系の活動を賦活させる効果があることが医学的にも確認されている。
出典元:文部科学省 CLARINETへようこそ
マインドフルネスを生活に取り入れる理由

仕事が忙しかったり、子育てや家事に追われ、ストレスや疲れが溜まることが多々あります。
せっかくの1日の時間も「心にゆとり」がなければ充実した時間を過ごすことができないかもしれません。
私も過去の苦い経験から、今ではストレスの緩和や対処、疲労回復のために『 マインドフルネス瞑想 』を取り入れています。
マインドフルネスとは自分の意識を「今この瞬間」に集中することで、心や体の状態に気づきを得ることです。*
今はどのように考え行動するべきかなど、負荷軽減のために最善最良の判断を選択することにも非常に役立ちます。
*マインドフルネスの意味は広義では解釈が異なる場合があります。
●参考:マインドフルネスストレス低減法 J.カバットジン(著) 春木豊(訳) 北大路書房

主には「 呼吸 」や「 瞑想 」が中心になります。

吐く息を吸う息より少し長めに取ってあげることで、副交感神経を優位に導くことができるとされています。
好きな音楽を聴いたり、外の景色をのんびり眺めたり、ゴロゴロとゆったりまったりと過ごすことも副交感神経へのアプローチに効果的です。
私はマインドフルネスのビフォーアフターで、自律神経系が関わる心拍変動(HRV)の値を確認しています。
充実したマインドフルネスタイムを過ごせた時は、心拍変動の値も高くなっていることが Apple Watchの心電図アプリ(ECG)でも確認できます。
心拍変動(HRV)などを可視化して状態を詳しく把握したいので、App Storeにあるサードパーティー系アプリ(iPhone対応アプリ)の「心拍変動の分析・心電図アナライザー」も使用しています。
Apple Watchでストレスレベルがわかる?ヘルスケアApp(心拍変動:HRV) 編

スマートウォッチとアプリを連携して使うことで状態をより詳しく把握できます。
●参考:瞑想とマインドフルネスについて知っておくべき8つのこと eJIM
Apple Watchのマインドフルネス機能

Apple Watchにはストレスを可視化するグラフやスコアはありませんが、必要と判断した際に「少し時間を取りましょう」と通知が入ります。
これも何らかの反応が身体で起こっているということを通知で気づかせてくれます。

Apple Watchにもリラックスを促す『 マインドフルネス機能 』があり、「リフレクト」と「深呼吸」が選択できる仕組み。
リフレクトとは、あるテーマに対して “ 思考を集中させる取り組み ” です。


リフレクトの実施時は毎回与えられるテーマは変わります。
●参考:Apple Watchを使ってマインドフルネスを実践する
ヘルスケアアプリでストレスチェック!
Apple Watchにはストレス測定機能の純正アプリはありませんが、サードパーティー系のアプリを使うことでストレススコアやレベルをチェックすることは可能です。
また、iPhoneのヘルスケアアプリでは『 心拍変動(HRV)』の観察が可能。
あくまでも目安ですが、ストレスに対する指標とすることもできます。

なぜ?心拍変動がストレスの指標になるの?
心拍変動は「心拍数のゆらぎ」を表しており、ストレスなどによって影響を受ける自律神経系の活動を表す指標であるからです。
個人的には心拍変動の高低で参考にしている健康指標の目安は下記の通りです。
心拍変動の 値が高い | 良好傾向 気分転換ができている 疲労の回復傾向 |
心拍変動の 値が低い | 不調気味 ストレスが溜まっている 疲労が高い傾向 |

Apple Watchの心拍変動については別の記事で詳しく解説しています。
Apple Watchでストレスレベルがわかる?ヘルスケアApp(心拍変動:HRV) 編
\マインドフルネス機能搭載 Apple Watch 8/
Fitbit のストレスマネジメント機能

ストレスを感じると心拍数(heart rate)が上昇したり、皮膚の汗の量が変化します。
この性質を利用して、光学式心拍計やEDA(皮膚電気活動)センサーでストレスの状態を把握。
- 心拍数の変化・・・光学式心拍センサーで検知
- 発汗作用の変化・・・EDA(皮膚電気活動)センサーで検知
ストレスと心拍数は深い関係性があるため、数値を目安にリラックスできる時間を積極的に取り入れることが推奨されています。
ストレス管理の新機能
1日(24時間)の生活で起こる出来事は多岐にわたります。
ストレス管理(ストレスマネジメント)ができるスマートウォッチとして注目されている『 Fitbit Sense 2 』には身体反応の終日計測機能のための “ cEDA(継続的皮膚電気活動)センサー ” が搭載されました。

何らかのストレスを検知した際は、上の画像のように通知によって“ リラックス ”や“ 気分の振り返り ”、“ ウォーキング ”の提案を行ってくれます。
- リラックス
(ガイド付き呼吸セッション) - 気分の振り返り
(今の気分を記録) - ウォーキング
(散歩)
機能の感想や評価についてはレビュー記事をご覧ください。
Fitbit Sense 2レビュー!新機能 cEDAセンサーの使用感と個人的評価 編
\ 終日計測機能搭載 Sense 2 /
Garminのリラックスリマインダー機能

Garmin公式サイトによると心拍変動(HRV)の “ 心拍のゆらぎ ” を検知してストレス度合いを測定。
リアルタイムでストレスレベルを確認できるほか、ストレスが高い状態を検知するとリラックスリマインダーがデバイスの画面に表示されます。
ブレスワーク機能があるので、上手に活用できればリラックスに有効。


ストレス推移のグラフ
下のグラフ画面は私の1日のストレスの推移を表したデータ。
グラフによって、休息とストレスが高い状態の違いがはっきりわかるので、ストレス度合いを振り返ることができます。

●参考:ガーミンヘルスガイド(ストレス)

ガーミンのストレス機能についてはレビュー記事もご覧ください。
ガーミンのスマートウォッチで見るストレスレベルと平均スコア|心拍変動(HRV) 編
\ リラックスリマインダー搭載 Venu2 /
ストレス測定精度の感想

ストレス測定の精度については、センサーが検知する様子を目では見ることができないため、あくまでも私の感想ですが体感から3社とも精度においては非常に高いという印象です。
自分自身がストレスを感じていると認識できる時は、だいたい振動や通知が入ります。
それだけセンサーが検知した時と、本人が感じた時のタイミングが近いと言えます。

ストレスが見えると対処しやすい!
Garminの愛用デバイス(Venu2S)では、リアルタイムでストレスレベル(数値)を確認できるため、
「案の定ストレスの数値が高くなっている…。」というケースが多く、
Fitbit(Sense 2)もcEDA(継続的皮膚電気活動)センサーが的確に身体反応を捉えてくれます。
Apple Watchは、ここぞとばかりにリラックスを促してくれるといった印象。
いずれも日本での上位シェアを占める人気3大メーカーだけに精度への安心感があります。
Fitbit・Garmin・Apple Watch レビュー|どれがおすすめ?機能比較 編
ひとこと

スマートウォッチのストレス計測機能は使ってみて意外に役立つことに気づきました。
余裕があるときはマインドフルネス瞑想や深呼吸、散歩などを取り入れていますが、本当に忙しい時は休憩を取ることを忘れてしまいがちで、リラックスリマインダーがあるので助かっています。
メーカーによって仕様は異なりますが、共通して言えることはストレス反応への軽減や緩和を図ることが目的です。
ストレス計測機能を使うことで、日常生活にゆとりが持てれば利用価値はさらに高まると思います。

ぜひ、自分自身のストレスへの反応をスマートウォッチで体験してみてください。
\マインドフルネス機能搭載 Apple Watch 8/
▼参考サイト
・Fitbit 公式サイト https://www.fitbit.com/global/jp/home
・Garmin 公式サイト https://www.garmin.co.jp/
・Apple 公式サイト https://www.apple.com/jp/watch/
▼参考文献
・マインドフルネスストレス低減法 J.カバットジン(著) 春木豊(訳) 北大路書房
・栄養科学イラストレイテッド運動生理学 麻美直美・川中健太郎(編) 羊土社
・第6版 補訂 基礎運動学 中村隆一・齋藤宏・長崎宏(著)医歯薬出版株式会社
・図解 眠れなくなるほど面白いストレスの話 ゆうきゆう(監修)日本文芸社
・ウェアラブル端末により検知した心拍変動に基づくストレス推定 鈴木伊織、佐藤文明(情報処理学会研究報告2020)
・心拍変動を利用した日常生活下のストレス値測定手法の検証 久保優希・小倉加奈代(情報処理学会インタラクション2021)
・呼吸法はなぜ健康によいのか? : 心拍変動バイオフィードバック法からみた自律神経メカニズムと心理学的効果 東海学園大学 学術情報リポジトリ 榊原雅人
・バイオフィードバックによる心理的指標への影響の概観と展望 東京大学 修士課程1年 下田茉莉子、修士課程1年 松本珠実、准教授 滝沢龍
※マインドフルネスを実践する場合は専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。
※記事内容の語句には捉え方や考え方が異なる場合もあります。
※写真やイラストはイメージです。