ストレスチェックができるスマートウォッチの多くは、デバイス本体に内蔵されたセンサーが身体反応を捉えてストレスの状態の高低を教えてくれます。
メーカーによって仕様や表示方法が異なるため各社の比較が参考になれば幸いです。
今回は、3メーカー(Apple Watch、Google/Fitbit、Garmin)を例に比較してみました。
ストレスチェックは“スコアの正解探し”ではなく、“気づいて対処する”ための機能です。
各社の違いは「何を測るか」よりも、数値からどう気づき、どう行動につなげるかに出ます。
ストレスチェックの意義

誰にでも大なり小なりストレスは存在するものですが、上手に対処するためにも『ストレスへの気づき』が大切と言われています。
忙しい毎日の中で、知らず知らずのうちにストレスが溜まっている方も多いのではないでしょうか。
ストレスに早く上手に対処することができれば、ストレス反応への負荷軽減が可能な場合が多いため、
このあたりに “ ストレスチェック機能の意義 ” があると筆者は感じています。
なお、ストレススコアは診断ではなく“自己管理の目安”です。
ストレスチェック機能が示す数値は、心拍や皮膚反応などの“身体の反応”から推定された指標です。
そのため「数値=医学的なストレスの確定」ではなく、日々の変化や傾向を見て生活を整えるためのツールとして使うのが基本になります。

ぜひ、使っておきたい機能の一つです。
ストレスコーピングの重要性

ストレスに対処する行動を「ストレスコーピング」と言います。
人それぞれストレスの要因は違いますが、ストレス反応の仕組みや発生メカニズムは共通しています。
出来事に対してどのように受け止め対処できるかで心身へのストレス反応の度合いが異なってきます。

厚生労働省によると「ストレッサーによって過剰なストレスが慢性的にかかると心身へのさまざまな悪影響が考えられるため、健康を維持するにはうまくストレスコーピングすることが必要になります。」とあります。
つまり、ストレッサーに対しての認知的評価の仕方や対処への知識や能力が重要であり、ストレス反応を軽減するためにも自分に合った術を身につけておくことが大切になります。

ストレス耐性には個人差があります。
今はどのように考え行動するべきかなど、負荷軽減のために最善の判断を選択することにも非常に役立ちます。
そこで、おすすめは“単発”ではなく“推移”を見ること。
その日のストレス値だけを見るよりも、1週間〜1か月の推移と、「睡眠不足」「運動」「飲酒」「カフェイン」「仕事の繁忙」「体調不良」などの出来事をセットで振り返ると、自分にとって何がストレスを上げ下げするのかが見えやすくなります。
スマートウォッチの強みは、まさにこの“振り返りの材料”を自動で残せる点です。
●参考:ストレスコーピング e-ヘルスネット(厚生労働省)
Apple Watchのマインドフルネス機能

Apple Watchにはストレスを可視化するグラフやスコアはありませんが、必要と判断した際に「少し時間を取りましょう」と通知が入ります。
これは“スコアで評価する”というより、身体の変化に気づかせて“行動を促す”設計です。
ストレス指標はあくまで推定値なので、Apple Watchのようにリマインダーで介入してくれるタイプは、数値に振り回されにくいのが利点だと感じています。

Apple Watchにはリラックスを促す『マインドフルネス機能』があり、「リフレクト」と「呼吸」が選択できる仕組み。
リフレクトとは、あるテーマに対して “ 思考を集中させる取り組み ” です。

リフレクトの実施時は毎回与えられるテーマは変わります。
また、watchOS10へのアップデートにより、心の状態(感情や気分など)を記録し管理できる機能が加わりました。
●参考:Apple Watchを使ってマインドフルネスを実践する
ヘルスケアアプリの心拍変動
Apple Watchにはストレスチェック機能の純正アプリはありませんが、サードパーティー系のアプリを使うことでストレススコアやレベルをチェックすることは可能です。
また、iPhoneのヘルスケアアプリでは『心拍変動(HRV)』の観察が可能。
あくまでも目安ですが、ストレスに対する指標とすることもできます。

なぜ?心拍変動がストレスの指標に?

心拍変動は「心拍数のゆらぎ」を表しており、ストレスなどによって影響を受ける自律神経系の活動を表す指標であるからです。
個人的には心拍変動の高低で参考にしている健康指標の目安は下記の通りです。
| 心拍変動の 値が高い | 良好傾向 気分転換ができている 疲労の回復傾向 |
| 心拍変動の 値が低い | 不調気味 ストレスが溜まっている 疲労が高い傾向 |

Apple Watchの心拍変動については別の記事で詳しく解説しています。
Google/Fitbit のストレスマネジメント機能

ストレスを感じると心拍数(heart rate)が上昇したり、皮膚の汗の量が変化します。
この性質を利用して、光学式心拍計やEDA(皮膚電気活動)センサーでストレスの状態を把握。
- 心拍数の変化・・・光学式心拍センサーで検知
- 発汗作用の変化・・・EDA(皮膚電気活動)センサーで検知
ストレスと心拍数には深い関係性があるため、数値を目安にリラックスできる時間を積極的に取り入れることが推奨されています。
なお、Fitbitのストレスマネジメントスコアは1〜100の範囲で表され、数値が高いほど身体的なストレスの兆候が低いことを意味しています。
注意点としては、スコアに“ストレス以外”が混ざることがあります。
心拍数や皮膚反応はストレスだけでなく、運動、睡眠不足、体調不良、脱水、飲酒などでも変化します。
そのため「スコアが悪い=必ずしも精神的ストレスが原因」とは限らず、生活全体のコンディション指標として捉えるほうが納得感が高いです。

スコアの個人的な平均は65ぐらいです。
Garminのリラックスリマインダー機能

Garmin公式サイトによると心拍変動(HRV)の “ 心拍のゆらぎ ” を検知してストレス度合いを測定しているとあります。
リアルタイムでストレスレベルを確認できるほか、ストレスが高い状態を検知するとリラックスリマインダーがデバイスの画面に表示されます。
ブレスワーク機能があるので、上手に活用できればリラックス効果が期待できます。


下のグラフ画面は私の1日のストレスの推移を表したデータ。
グラフによって、休息とストレスが高い状態の違いがはっきりわかるので、ストレス度合いを振り返ることができます。

●参考:ガーミンヘルスガイド(ストレス)
ストレスチェック精度の感想

センサーの精度は目に見えませんが、筆者の体感では、いずれのメーカーも“傾向を見る用途”としては十分実用的だと感じています。
自分自身がストレスを感じていると認識できる時は、だいたい合致しています。
数値にすると7〜8割ぐらいは心身に感じる度合いと相関していることが多いのが事実です。
それだけセンサーが検知した時と、本人が感じた時のタイミングが近いと言えます。

ストレスが見えると対処しやすい!
Garminの愛用デバイスでは、リアルタイムでストレスレベル(数値)を確認できるため、「案の定ストレスの数値が高くなっている…。」というケースが多く、
Pixel Watch 3もcEDA(継続的皮膚電気活動)センサーが的確に身体反応を捉えてくれます。
Apple Watchはリマインダーで促し、マインドフルネス機能をすすめてくれます。
いずれも日本での上位シェアを占める人気メーカーだけに精度への安心感があります。
精度の体感を上げるコツは「自分の感覚」とセットで見ることが大切です。
ストレス指標は推定値なので、数値だけで判断するより、「眠気」「肩こり」「食欲」「集中力」「気分」などの体感と照らし合わせると、自分にとっての“当たり・外れ”が見えてきます。ここが掴めると、ストレスチェック機能の実用性が一気に上がります。
「スマートウォッチのストレス計測は精度が低い」という話題の研究結果については、Garmin実機で4年間検証したこちらの記事で詳しく解説しています。
結局どれがいい?おすすめが先に知りたい方へ
先に結論だけ知りたい方向けに、ストレスチェック機能が強いスマートウォッチのおすすめ3選をまとめました。
「初心者はどれが使いやすい?」「リアルタイムでストレスを見たい」など目的別に選べます。
ひとこと

スマートウォッチのストレスチェック機能は使ってみて想像以上に役立つことに気づきました。
余裕があるときはマインドフルネス瞑想や深呼吸、散歩などを取り入れています。しかし本当に忙しい時は休憩を忘れがちです。そんな時にリラックスリマインダーがあると非常に助かります。
メーカーによって仕様や機能は異なりますが、共通して言えることはストレスの軽減や緩和を図ることが目的です。
ストレスチェック機能を使うことで、日常生活で心にゆとりが持てれば利用価値はさらに高まると思います。

ぜひスマートウォッチのストレスチェック機能を活用し、自分自身のストレス反応を確かめてみて下さい。
ストレススコアはあくまで推定値です。不眠や強い不安、体調不良が続く場合は、数値だけで判断せず、医療機関での相談も検討してください。
▼参考サイト
・Fitbit 公式サイト https://www.fitbit.com/global/jp/home
・Garmin 公式サイト https://www.garmin.co.jp/
・Apple 公式サイト https://www.apple.com/jp/watch/
▼参考文献
・マインドフルネスストレス低減法 J.カバットジン(著) 春木豊(訳) 北大路書房
・栄養科学イラストレイテッド運動生理学 麻美直美・川中健太郎(編) 羊土社
・第6版 補訂 基礎運動学 中村隆一・齋藤宏・長崎宏(著)医歯薬出版株式会社
・図解 眠れなくなるほど面白いストレスの話 ゆうきゆう(監修)日本文芸社
・ウェアラブル端末により検知した心拍変動に基づくストレス推定 鈴木伊織、佐藤文明(情報処理学会研究報告2020)
・心拍変動を利用した日常生活下のストレス値測定手法の検証 久保優希・小倉加奈代(情報処理学会インタラクション2021)
・呼吸法はなぜ健康によいのか? : 心拍変動バイオフィードバック法からみた自律神経メカニズムと心理学的効果 東海学園大学 学術情報リポジトリ 榊原雅人
・バイオフィードバックによる心理的指標への影響の概観と展望 東京大学 修士課程1年 下田茉莉子、修士課程1年 松本珠実、准教授 滝沢龍
※マインドフルネスの意味は広義では解釈が異なる場合があります。
※マインドフルネスを実践する場合は専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。
※写真やイラストはイメージです。
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