Googleのスマートウォッチ「Pixel Watch 3」を試してみたいと思い、ビジネス用のスマートフォンをAndroid端末(Pixel 8a)へと機種変更しました。
Pixel Watch 3は、非常にシンプルなユーザーインターフェース(UI)で操作性もよく使い勝手は上々です。
Fitbitアプリには以前から慣れ親しんでおり、「もっと早くPixel Watchを使い始めていれば良かった」と正直思いました。
本記事では、プライベートで使用しているApple Watch 10との違いを比較しながら、強み弱みを交えて解説しています。
今回の検証環境は以下の通りです。
Android | iPhone | |
---|---|---|
スマート フォン | Google Pixel 8a | Apple iPhone 15 Pro |
スマート ウォッチ | Pixel Watch 3 | Apple Watch 10 |
それぞれの評価は、あくまでも筆者の感想です。あらかじめご了承ください。
Pixel Watch 3を使用してわかったこと

Pixel Watch 3を使い始めて一番驚いたのは、GoogleのWear OSとFitbitアプリの統合が見事に達成されている点でした。
ひとことで感想を述べると「非常にシンプルで使いやすい」です。
Fitbitアプリの健康管理機能では、睡眠の質が「85点」、ストレスレベルが「70点」といった形で分かりやすく数値化されます。
また、スマート機能もApple Watchに負けず劣らずでポテンシャルの高さには感心させられました。
初代Pixel Watch、二代目Pixel Watch 2とも比べても完成度が高く快適です。
Pixel Watch 3とApple Watch 10の比較

まず、Pixel Watch 3とApple Watch 10の基本的なスペックと機能を比較してみました。
ご存知の通り、Pixel WatchシリーズはAndroid端末のみで、Apple WatchシリーズはiPhoneのみで使用できます。
基本スペック比較
項目 | ![]() Pixel Watch 3 | ![]() Apple Watch 10 |
---|---|---|
サイズ | 41mm / 45mm | 41mm / 45mm |
重量 | 約31g(41mm) 約37g(45mm) | 約30g(41mm) 約39g(45mm) |
ディスプレイ | LTPO AMOLED | LTPO OLED |
明るさ | 最大2,000ニト | 最大2,000ニト |
常時表示 | 対応 | 対応 |
バッテリー | 最大24時間 (セーバー時 :36時間超) | 最大18時間 (省電力モード時 :最大36時間) |
OS | Wear OS (Android 10以降) | watch OS (iPhone専用) |
価格 (税込) | 52,800円〜 | 59,800円〜 |
両モデルとも、省電力性能に優れたLTPO(低温多結晶酸化物)技術を採用した有機ELディスプレイを搭載しています。
この技術により、時計を見ていない時は画面の更新頻度(リフレッシュレート)を最小限にまで下げることで、常時表示のバッテリー消費を賢く節約してくれます。そのため、どちらのモデルを選んでも、バッテリーを気にせず常時表示の利便性を享受できます。
主な機能の違い
ここでは、Apple Watch 10と比較しながらPixel Watch 3の持つ強みについて簡単にまとめています。
以下の比較表からも分かるように、Pixel Watch 3の最大の特徴は「スコア表示による分かりやすさ」にあります。
【主な健康管理機能 比較一覧】
機能 | ![]() Pixel Watch 3 | ![]() Apple Watch 10 |
---|---|---|
心拍数測定 | ⚪︎ | ⚪︎ |
睡眠記録 | ⚪︎ スコア表示あり | ⚪︎ 詳細データのみ |
ストレス測定 | ⚪︎ スコア表示あり | △ サードパーティ アプリが必要 |
心電図測定 | × 日本では 利用不可 | ⚪︎ |
血中酸素測定 | ⚪︎ | ⚪︎ |
皮膚温測定 | ⚪︎ | ⚪︎ |
転倒検出 | ⚪︎ | ⚪︎ |
データ可視性 の直感度 | ★★★★★ | ★★★★☆ |
どちらも健康管理に関するデータは豊富ですが、可視性においてはPixel Watch 3の方が初心者には優しいと感じます。
Pixel Watch 3の強み

Pixel Watch 3の強みを健康管理機能の計測(睡眠、ストレス)視点から例を挙げてみました。
睡眠スコア
Pixel Watch 3の最大の強みと言っても過言ではないのが、このFitbit由来の「睡眠スコア」です。昨晩の睡眠が「85点」と一目でコンディションがわかるため、「今日は少し休もう」「まだ頑張れる」といった判断が瞬時にできます。
Apple Watchもレム睡眠や深い睡眠といった詳細なデータを記録してくれますが、「で、この数字は良いの?悪いの?」を自分で読み解く必要があります。
この『考える手間なく、直感的にわかる』という体験は、忙しい毎日の中で健康管理を続けたい人にとって、何よりのメリットだと感じました。

ストレスチェック機能
自分では気づきにくい「隠れストレス」を可視化してくれるのも、Pixel Watch 3の優れた点です。終日、体の反応を継続的に記録し、ストレスの兆候を検知するとウォッチが「今、ストレスを感じているかもしれません」と通知してくれます。
Apple Watchにも「マインドフルネス」アプリがあり、自分で心の状態を記録したり呼吸法を実践したりできます。しかしそれは、あくまで自分で「やろう」と思った時に使う能動的なアプローチ。
Pixel Watch 3の自動検知は、無自覚な自分に気づく『きっかけ』を与えてくれる、より一歩踏み込んだサポートだと感じます。

Pixel Watch 3の弱み

両機種とも心電図測定のハードウェアを搭載していますが、日本での利用可否に大きな違いがあります。
心電図アプリ
これは購入前に知っておくべき、Pixel Watch 3の明確な弱みです。ハードウェアとしては心電図を測定する機能を搭載しているものの、日本では医療機器としての承認が得られていないため、この機能を使うことができません。
一方で、Apple Watch 10は正式に承認を受けており、気になった時にいつでも心電図を記録できます。動悸など、心臓の健康状態を主体的にチェックしたい方にとっては、この差は非常に大きく、現時点ではApple Watchを選ぶべき明確な理由になるでしょう。

GPS機能
Pixel Watch 3のGPSも、公園でのランニングなど日常的な用途では十分な性能です。しかし、より高い精度が求められるシーンでは、Apple Watch 10に一歩及ばないのが正直なところです。
その理由は、Apple Watch 10が搭載する「2周波GPS」にあります。これは高層ビル街や山間部でも位置情報のズレを大幅に減らす技術で、より正確な距離やペースを記録したいランナーやハイカーにとっては、Apple Watch 10のGPS精度は大きな強みです。一般的な健康管理目的なら問題ありませんが、トレーニングの質を重視するなら、この差は無視できない弱点かもしれません。
結論:どちらが魅力?

Pixel Watch 3は、Fitbitアプリのスコア表示で複雑な健康データが一目で理解できる点が魅力です。より高度な分析や長期的な傾向の把握には有料プラン「Fitbit Premium」が必要ですが、日常的な利用であれば無料機能でも十分です。
一方、Apple Watch 10は多くの機能を有しており、ヘルスケアアプリで一元管理が可能。また、サードパーティアプリとの連携などで活用の幅を広げることができます。
iPhoneユーザーで、かつApple Watch経験者には適していますが、シンプルな指標を活用したい方にはややデータを読み解くには学習時間が必要になるかもしれません。
以上を踏まえると、健康管理にこれから取り組もうとする方にとっては、Pixel Watch 3の方がおすすめです。
特に「健康管理を始めたいが何から手をつけて良いか分からない」といった初心者には、Fitbitアプリのスコア表示は、継続的な健康管理を始めるうえで非常に効果的な要素と言えるでしょう。

あなたに最適なのはどちら?
実際に両方のスマートウォッチを使い比べた経験から、どちらを選ぶべきか迷っている方のために、具体的な選択基準をチェックリスト形式でまとめました。
Pixel Watch 3がおすすめの人
◻︎Androidスマートフォンユーザー
◻︎健康管理を数値でシンプルに把握したい
◻︎ストレス管理を重視したい
◻︎コストパフォーマンスを重視
◻︎Googleサービスを日常的に利用
◻︎初めてスマートウォッチを購入する
◻︎睡眠の質を改善したい
Apple Watch 10がおすすめの人
◻︎iPhoneユーザー
◻︎心電図機能を今すぐ使いたい
◻︎Apple製品のエコシステムを活用中
◻︎詳細なデータ分析を楽しめる
◻︎サードパーティアプリを活用したい
◻︎家族とのデバイス共有機能を使いたい
◻︎より多くのワークアウト種目に対応したい
3つ以上チェックが付いた方を選ぶことで、満足度の高い選択ができるでしょう。

ご自身の使い方をイメージしながら、ぜひチェックしてみてください。
Apple Watchの学習コスト
Apple Watchは多機能で優れたデバイスですが、その豊富な機能を使いこなすまでには、ある程度の「慣れ」が必要です。
データ理解までのステップが多い
【具体例:睡眠データの場合】
Apple Watchでは睡眠データが以下のように表示されます:
- レム睡眠:2時間15分
- コア睡眠:4時間30分
- 深い睡眠:1時間45分
しかし、これだけ見ても「自分の睡眠は良いのか悪いのか」がすぐには分かりません。
判断するためには:
- 各睡眠ステージが何を意味するか理解する
- 理想的な割合(レム睡眠20-25%など)を覚える
- 自分のデータと照らし合わせて計算する
という手順を踏む必要があります。
一方、Pixel Watch 3なら「睡眠スコア:75点」と表示されるため、「100点満点中75点なら、まずまずかな」と直感的に理解できます。
このような違いは、特に健康管理を始めたばかりの方にとって、モチベーション維持に大きく影響する要素と言えるでしょう。

実際の使い分け体験例
筆者は、スマートウォッチをシーンや目的に合わせて使い分けています。
以下のように使い分けることで、スマートフォンを取り出す機会が減り、日々の行動がよりスムーズになりました。
平日のビジネスシーン(Pixel Watch 3)
Pixel Watch 3で次の予定を確認し、Gmailの重要な通知だけを手首で素早くチェック。Googleカレンダーとの連携で「14時からの商談準備」といった通知で、スケジュール管理が格段に楽になりました。
また、スマホの通知設定を手元で切り替えできるので、集中したい時間帯の管理が非常に便利です。
週末のプライベート(Apple Watch 10)
家族との外出時はApple Watch 10が活躍。家族とのLINEのやり取りを手元で完結でき、待ち合わせの際の電話もApple Watchで対応できるのでとても便利です。
iPhoneとの連携でSiriを使った音声操作も自然で、子供と一緒に調べものをする時にも大活躍しています。

ひとこと
どちらのスマートウォッチを選んでも、健康への意識の高まりや、日常の利便性が大きく向上します。
大切なのは、自分の環境や好みに合ったデバイスを選び、生活を豊かにすることです。
スマートウォッチは単なるガジェットではなく、より良いライフスタイルを支える“パートナー”です。
筆者にとっては、日々のウェルビーイング向上に大きく貢献してくれています。
もちろんデザインも大切ですが、目的や用途に適したスペックと機能を有していることは絶対条件です。
実際に使ってみないと分からない点も多くありますが、本記事がスマートウォッチ選びの一助となれば幸いです。
【参考サイト】
・Google Store 公式サイト:https://store.google.com/
・Apple 公式サイト:https://www.apple.com/jp/apple-watch-series-10/
・Amazon 公式サイト:https://www.amazon.co.jp/
※写真やイラストはイメージです。